足の剛性がランニングエコノミーに与える影響
ランニングエコノミーを向上させるために必要な事、EDUCOが考えるアプローチとしての第2弾として前回は足の軟部組織のブレについて説明しました。今回はその続きとなり、足の剛性との関係についてご紹介します。
足の剛性ーと言われるとどのようなイメージを抱きますか?足の剛性は、思い切ってまとめてお伝えすると、「地面からの反発を効率よく受け取る脚のバネの強さ」と表現できます。

『Frontiers in Physiology』誌に掲載された研究では、ランニングエコノミー(以下REと表記)を左右する要素として、足の剛性を(垂直剛性、脚の剛性、アライメント)としてその影響が明らかにされていますので少しご紹介いたします。
研究では、以下の3つの剛性指標がREにどのような影響を与えるかを調査しました:あくまで参考程度にご覧下さい。これが理解できなくても問題ありません。
- 縦方向の剛性(Vertical Stiffness):地面反力に対する身体の反応を示し、着地時の衝撃吸収とエネルギーリターンに関与。股関節を含めたバネの強さを指します。
- 脚の剛性(Leg Stiffness):脚全体を固める特性を示し、地面からの反発力を最大化する役割を持つ。
- 関節の剛性(Joint Stiffness):膝や足首などの関節がどの程度柔軟に動くかを示し、衝撃吸収や推進力に影響を与える。
そして剛性を高めるメリットとして以下のようなメリットが示されています

- 地面反発の効率的な活用 → 剛性が適切な範囲で高いと、地面からの反発力を最大限に活用できる。
- 筋腱の弾性エネルギーの活用 → アキレス腱や足底筋膜の剛性が適切に高まると、弾性エネルギーを蓄積・再利用しやすくなる。
- ランニングフォームの安定化 → 剛性が適切に高いと、体幹のブレが減り、効率的なフォームを維持しやすくなる。
ただこの研究で注目すべきことは二つあります。
剛性が適度に高い状態 → 効率的なエネルギーリターンを促進し、REに寄与する可能性がある。
剛性が過度に高い場合 → 衝撃吸収が低下し、地面反力が直接筋肉に負担をかけるため、酸素消費量が増加し、結果としてREが低下する。

「適度な剛性はエネルギーロスを抑えつつ効率的な走りを実現するが、剛性が過度に高すぎるとREの低下につながる」という評価になっています。これは、剛性が高すぎると着地時の衝撃をうまく吸収できず、柔軟な反発が得られないことに起因すると考えられます。
逆に、剛性が低すぎると推進力が失われるため、適切なバランスが重要です。
良く捻挫後や足首の安定化にテーピングを利用しますが、安心のためにと言って例えばホワイトなどで硬め過ぎるとかえって負担・エネルギーロスが増える~ということが大切なキーポイントだと思います。
参照文献:「Running Economy and Lower Extremity Stiffness in Endurance Runners: A Systematic Review and Meta-Analysis」
ゼログラ(Zero-gra)がアライメントと剛性をサポート
では、ランナーはどのようにして適切な剛性を確保し、ランニングエコノミーを最大限活用できるのでしょうか。その答えの一つが、「ゼログラ」です。
●強化編みによるアライメント調整
ゼログラは、踵・中足部・アーチ・前足部に強化編みを施し、【固めるのではなく】足の適正な位置を維持することで剛性をサポートします。 これにより、柔軟性を保ちながらも足の剛性を獲得でき、地面反発を最大限活用できるようになります。

●下腿コンプレッションによる剛性維持
ランニング中、筋肉や軟部組織の振動はエネルギーロスにつながります(前回の記事でご紹介)ゼログラは適度なコンプレッションを加えることで、下腿のブレを抑え、剛性を維持しながらエネルギー効率を向上させます。

●筋の補助によるアーチの安定化
足の剛性は、筋の適切な働きによってさらに強化されます。特に後脛骨筋をはじめとする足のアーチ外在筋は、アーチの維持や剛性調整において重要な役割を担っています。


簡単にまとめるとこのような機能を付与し、剛性を高めるサポートをいたします

■データはあるの?
現在、様々な形で走りの変化を計測しておりますが、剛性に関してはまだ一部のみとなっておりますが、その一つが途中ご紹介した縦方向の剛性(Vertical Stiffness)の検証として[接地時間×跳躍高]という計測法があり、それを光学センサーにて測ったところ下記の画像の結果が出ました。

ジャンプ高は、裸足の方が高いですが、これはシューズを履いているためと考えます。普通のソックスよりジャンプ高は上がっており、接地時間は全体より低いです。
これは足の剛性が高まり、足全体をバネとして使えていると捉えることが出来ます。
3軸センサーでのテストでも約80%セントのランナーが接地時間の短縮が起こっています。
これからはテストの人数を増やして更に正確なデータを取り、どのように走りに貢献できるのかもお示ししてゆきたいと考えております。
次回は、ランニングエコノミーPart3 足のスイングについて、楽しみにお待ちください。